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FX自動売買【両建て】のメリットとデメリット

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両建て自動売買のメリットとデメリット

私は「買い」と「売り」の自動売買を同時に取り入れる、「両建ての自動売買」を行っています。世間では「投資の世界で両建てはご法度だ!」とか「両建ては2倍儲かる!」とか、いろいろ言われています。両建てについては賛否両論ですが、私は実際に運用していてメリットに感じる部分が多いので実践しているわけですが、絶対におすすめ!というわけでもありません。

まず、私が両建て自動売買を行っているうえで、メリットに感じること、デメリットに感じることを紹介します。人によってメリット・デメリットは変わってくると思うので、各自で判断すればいいと思います。

それから、なるべくデメリットを減らすように、両建てする通貨ペアには条件を決めています。条件に合っている通貨ペアについては、積極的に両建てを取り入れているのですが、その条件についても紹介していきます。

両建て自動売買のメリット

少ない資金で多く稼げる

両建ての一番のメリットは、やはり「少ない資金で多く稼げる」です。

「買い」と「売り」の2本の自動売買を行っていれば、「買い」1本だけより必ず儲かります。それは運用利益の結果を見れば明らかで、「買い」と「売り」の利益を合計すれば、「買い」1本より利益は多くなります。

重要なのは、「買い」と「売り」2本の自動売買の必要資金が、買い1本の時とあまり変わらないということです。サンプルを例にして説明していきます。

100円~110円に自動売買「買い」と「売り」を設定します。11円幅で損切りを設定します。私のルールでは、必要資金は最大含み損と必要証拠金の合計なので、それぞれの自動売買で必要な資金は112,200円です。

この場合、本来ならば、2本分の224,400円は用意しないといけないルールなのですが、私は15万くらいで自動売買をスタートさせます

「買い」の自動売買
価格 購入単位 含み損
(99円の時)
必要証拠金
(4%)
110 1,000 -11,000 -4,400
109 1,000 -10,000 -4,360
108 1,000 -9,000 -4,320
107 1,000 -8,000 -4,280
106 1,000 -7,000 -4,240
105 1,000 -6,000 -4,200
104 1,000 -5,000 -4,160
103 1,000 -4,000 -4,120
102 1,000 -3,000 -4,080
101 1,000 -2,000 -4,040
100 1,000 -1,000 -4,000
合計 11,000 -66,000 -46,200
「売り」の自動売買
価格 購入単位 含み損
(111円の時)
必要証拠金
(4%)
100 1,000 -11,000 -4,000
101 1,000 -10,000 -4,040
102 1,000 -9,000 -4,080
103 1,000 -8,000 -4,120
104 1,000 -7,000 -4,160
105 1,000 -6,000 -4,200
106 1,000 -5,000 -4,240
107 1,000 -4,000 -4,240
108 1,000 -3,000 -4,280
109 1,000 -2,000 -4,360
110 1,000 -1,000 -4,400
合計 20,000 -66,000 -46,200

両建ての場合、最大含み損は片方のみを計算すれば大丈夫なのです。同じ通貨が、同時に下落したり上昇することはありません。レートが上がれば「買い」の含み損は減り、「売り」の含み損は増えます。逆も同じこと。

108円の時、「買い」の含み損は-3,000円。「売り」の含み損は-36,000円
102円の時、「買い」の含み損は-36,000円。「売り」の含み損は-3,000円

2本の自動売買の含み損合計は最大-66,000円以上にはならないのです。(損切りが発生していない状況の場合)

「買い」1本だけと同じくらいの資金で、それ以上の利益を出すことできるのです。それが最大のメリットです。

保有ポジションの必要証拠金についても、同じように相殺されます。例えば、買いのポジションを5本、売りのポジションが2本の場合、多いポジションの買いポジション5本分の証拠金だけで大丈夫なのです。しかし、注文を出している分については「買い」も「売り」もそれぞれに証拠金が拘束されますので、そこは注意してください。
(※各FX会社によって両建てルールも違いますので、確認してください。)

リスク分散ができる

リスク分散が大事!とよく言います。同じ資産を保有するより、様々な資産に分散したほうが、一度に抱えるリスクが分散するので安全なのです。

自動売買をやっている人の多くは、ドル円やクロス円の「買い」だと思いますが、ドル円、豪ドル円、ユーロ円、など通貨を分散していたとしても、金融ショックなどで円高になるとすべて同時に苦しくなりますよね。

究極のリスク分散は「買い」と「売り」だと思っています。

為替レートは、株価と違って、長期的に必ず上昇するものではありません。将来上昇するのか下落するのか、予想することもできません。自分の自動売買が「買い」だけとか「売り」だけだと、反対にレートが推移した場合には利益を出せません。

1つの通貨ペアに100万の予算があったとしたら、それを全部「買い」だけに投入するのではなく、私は60万は買い、40万は売り、というふうに分散します。

両建て自動売買のデメリット

マイナススワップが負担になる

やはりメリットだけではありません。デメリットもあります。私はこのマイナススワップが一番のデメリットだと思います。

国の政策金利差が大きい通貨ペアの場合、「買い」と「売り」どちらかが高額のマイナススワップになります。ここ最近では、米国の金利が高いので、USD/JPYやUSD/CHFの売りはマイナススワップが非常に大きく、決済利益を吹き飛ばしてしまいます。USD/JPYやUSD/CHFの設定ごとの年間利益を見ればよくわかります。

自動売買では、レートが戻らなければ長期的にポジションを保有することはよくあります。そうなると、どんどんマイナスが増えていくので、心理的にもけっこう怖いです。スワップが増えていくのはいいのですが・・。

含み損が永遠に減らない

私はあまり気にしないのですが、両建てをすると常にどちらかのポジションを抱えることになり、含み損が減ることがありません。レートが上がっても、売りの含み損が増えるので、関係ありません。

もともと自動売買そのものが、含み損を抱える仕組みなので私はあまり抵抗はないのですが、含み損を気にする人にとってはデメリットではないでしょうか。

含み損が減らないので、一度両建てをスタートしたら、止めたくなっても普通の自動売買より止めづらいです。自動売買を一旦ストップさせたとしても、抱えている「買い」と「売り」の両方のポジションを、損切りせずに決済するにはかなり時間がかかるでしょう。簡単に止めることはできないことをちゃんと理解してからスタートしてください。

デメリットを減らす両建ての条件

私は両建てのデメリットをできるだけ減らすために、両建てする通貨には条件を決めています。やみくもに両建てしているわけではありません。

両建ての条件

  • 金利差が小さい国の通貨ペアを選ぶ
  • 長期チャートを参考に両建てしやすい通貨ペアを選ぶ

金利差が小さい国の通貨ペアを選ぶ

マイナススワップが一番のデメリットだと考えているので、USD/JPYやUSD/CHFのような金利差が大きいものは避けます。私が両建てにおすすめする通貨ぺは、EUR/JPY、CHF/JPY、AUD/USD、NZD/USD、AUD/NZDなどです。

マイナススワップは絶対に嫌だという場合には、AUD/JPYの買いとEUR/JPYの売りというようなセットの選択もあります。2019年9月現在、売りのスワップはマイナスでじはないクロス円はユーロ円、スイスフラン円です。これはけっこうおすすめで、まったく逆の動きではありませんが、クロス円同志ということで、ほぼ逆の動きをするのでリスク分散になります。下のチャートを見ると逆に動いているのがわかります。

【AUD/JPYとJPY/EURの相関チャート】
AUD/JPYとJPY/EUR相関図

長期チャートを参考に両建てしやすい通貨ペアを選ぶ

各通貨の長期チャートを参考にして、買いゾーン売りゾーンを設定し、それが重なる部分を両建て最適ゾーンと考えています。長期チャート中心ラインの上下1,000pipsくらいです。

高値圏、安値圏にいるような通貨ペアはまず避けます。現在のレートが高値圏にいたり、安値圏にいる場合に両建てをスタートすると、必ず後で苦しくなります。

例えば、EURGBPは現在、史上最高値の近辺にいます。そのような高値圏にいる通貨を両建てしてしまった場合、買いの自動売買は想定できる下げ幅が非常に広くなってしまいます。損切りのリスクも高まりますし、高値掴みをして長期的にポジション・含み損を抱えてしまうことになります。

【EUR/GBPの20年長期チャート】
EUR/GBPの20年チャート

おすすめは長期チャートの真ん中あたりをウロウロしている通貨ペアですが、そのような通貨はそんなに多くありません。そんな中で、私が両建てに向いている!と考えているのがEUR/CADです。EUR/CADの20年長期チャートを見ればわかりますが、現在中心ライン近辺をウロウロしています。長期的にみても、レートが中心ラインに戻ってくる動きを繰り返しているのです。

実際にも、EUR/CADを200pips、150pips、100pips間隔で「買い」と「売り」の自動売買を運用しています。

【EUR/CADの20年長期チャート】
EUR/CADの20年チャート

両建て自動売買のメリット・デメリットのまとめ

まとめ

今現在の運用実績から判断すると、両建て自動売買はメリットの方が大きいと思います。条件に合う通貨ペアを選択し、設定のリスク管理をしっかり行えば、利益率は上がります。

実際の運用では、両建ての条件にそこまでこだわらずに、実験がてら色んな通貨で両建て自動売買を実践しています。両建て自動売買は、損なのか?得なのか?検証したいからです。私は今後も積極的に取り入れて検証していきたいと思います。

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