CFD自動売買入門 ETF自動売買入門

CFD・ETF自動売買で失敗しないためのリスク管理

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CFD・ETF自動売買で失敗しないためのリスク管理

CFDやトライオートETFを活用した「株価指数のリピート系自動売買」は、投資初心者でも安定した運用を可能にします。しかし、そこにはリスクやデメリットもあり、きちんとリスクを理解をしてリスク管理を行わないと、大失敗することになります。

私が株価指数の自動売買で実践している「失敗しないためのリスク管理の方法」を紹介していきます。

CFD・ETF自動売買のリスクとは何か

まず、CFD・ETF自動売買のリスクとは何か?について説明します。リスクを知っておかないと管理もできませんから。

ここでは、金融商品に投資する上での一般的なリスク(為替リスク、株価値下がりリスク、流動性リスクなど)には触れません。

CFD・ETF自動売買を行う上で、注意しなければいけないと私が考えるリスクについて説明しています。

レバレッジ取引リスク

CFDやトライオートETFは「少ない資金で高額のものを売買する」という手法である「レバレッジ取引」です。証券会社から借金をして取引しているようなイメージです。これは大きい利益を出すこともできれば、大損することもあるものです。

このレバレッジが一番のリスクだと考えています。

現物の株取引の場合、保有した株の株価が下がれば、下がった分マイナスになります。

レバレッジ取引の場合、株価が下がることで、普通の投資よりも損失が大きくなる傾向があるのです。

具体例

手持ち資金20万円で、日経平均株価を20,000円で買う場合。

現物なら10枚購入可能。
株価が18,000円まで下がる → マイナス20,000円

レバレッジ5倍で50枚購入可能。
株価が18,000円でロスカット → マイナス100,000円

株価が20,000円から18,000円まで下がった同じ状況でも、これだけ差がでます。現物の場合は、保有し続ければもとに戻る可能性もありますが、レバレッジ取引でロスカットされた場合、マイナス10万円は確定した損失になります。

レバレッジ取引、証拠金取引について詳しく知りたい場合は、こちらの記事を参考にしてください。

長期保有する場合の金利負担リスク

CFDやトライオートETFのポジションを持ち越すと金利負担が発生します。これは「オーバーナイト金利」という名称なのですが、証券会社によって、「金利調整額」だったり、「スワップポイント」だったり、呼び方が違います。

レバレッジ取引は借金をしているようなものだと説明したように、ポジションを保有している間は金利を支払わなければいけません。FXでいうと、マイナススワップのようなものです。

「オーバーナイト金利」は、「買い」ポジションのとき金利を払って、「売り」ポジションのとき金利を受け取ります

CFDやトライオートETFには、金利以外に配当金の受取りがあります。これは金利と逆で、「買い」ポジションのとき配当金を受け取って、「売り」ポジションのとき配当金を支払います

売買 配当金 金利
受取り 支払い
支払い 受取り

配当や金利の条件は、その時々で変動します。配当が金利のを上回っていれば、受取金が発生しますし、金利が上回っていると、支払いが発生します。これは取引する銘柄や時期によって違いますし、「買い」「売り」でも変わってきますので、自動売買を行う前には直近の配当・金利の実績はチェックした方がいいと思います。できる限り、保有するだけで配当が受け取れるような銘柄を選ぶのがベストです。

主な株価指数CFDの支払い負担が発生するかどうかをまとめました。

基本的には、株価指数CFDの「買い」であれば配当金を受け取ることができ、「売り」だと支払いが発生する状態です。

トライオートETFの場合は、配当がない銘柄も多いので、保有し続けると金利の支払いのみが発生する場合が多いです。

CFD銘柄 売買 支払い負担
日経225
NYダウ
ナスダック
S&P500
FTSE100
DAX
配当が金利を上回っている
配当の受取りが発生する
配当が金利を上回っている
配当の支払いが発生する

トライオートETF
金利の支払いが発生する
(配当は銘柄によって異なる)
配当と金利の支払いが発生する

※データは2021年5月現在の情報です。
※DMM.com証券の日経225、NYダウはマイナススワップポイント(金利支払い)が発生しています。
※くりっく株365のDAXは配当が価格に組み込まれているため配当金の受払いがなく金利のみ発生します。
※トライオートETFは銘柄によって金利が配当を上回ります。

自動売買では、価格が戻らないとポジションが塩漬けになり長期保有してしまうことがあります。そんなときに金利が日に日に積み上がっていくのが辛くなってくるのです。

金利負担を減らすために

金利や配当は各国の政策金利により変動します。自動売買をするときは、銘柄の金利・配当情報を事前にチェックし、支払い負担が小さいものを優先的に選ぶことをお勧めします。

NYダウは、2018年、2019年では、金利が配当を上回り、買いポジションではマイナス負担がありました。2020年になってからは再び配当が上回っている状態です。

金利や配当状況は日々変化します。過去にどれくらい金利・配当が発生しているかは、運用利益の記事や配当金・金利実績の記事に記載しているので参考にしてみてください。最新の情報は各証券会社の公表しているものを確認してくださいね。

ロスカットされないためにやるべき事

リスクについて説明しましたが、CFD・ETF自動売買での大失敗するということは、「ロスカット」されて、資金を失うことではないでしょうか。「ロスカット」を防いで自動売買が継続できれば、大失敗はしないとも言えます。

「失敗」=「ロスカット」

CFD・ETF自動売買におけるリスク管理とは、「ロスカット」されないように設定・資金を管理することだと言ってもいいと思います。

私が実践しているロスカットされない対策は以下の4つです。

ロスカットされない対策

  • ロスカットルールを理解する
  • 最大含み損を計算して必要な資金を用意する
  • 損切り価格まで下落しても自動売買をやめない
  • リスク分散する
  • 欲を出しすぎない

ロスカットルールを理解する

ロスカットされないためには、ロスカットについてきちんと理解する必要があります。次はロスカットに関わる重要ワード、「必要証拠金」「有効証拠金」「証拠金維持率」「ロスカットルール」について説明していきます。

必要証拠金とは

「必要証拠金」とは、CFDを取引するために必要な、証券会社に預ける証拠金のことです。各CFD商品、銘柄によって証拠金率が決められています。取引金額に証拠金率をかけて計算します。

【証拠金率20%の場合の計算例】必要証拠金

株価指数CFDの証拠金率

取引金額の10%が必要証拠金になります。レバレッジ10倍ということです。
20万の取引に、20,000円の証拠金が必要ということになります。

くりっく株365の証拠金率

証拠金は東京証券取引所によって毎週見直されて変動します。現在、取引金額の約3~5%が必要証拠金になっています。レバレッジ約30倍ということです。
20万の取引に、約6,000円の証拠金が必要ということになります。

トライオートETFの証拠金率

取引金額の20%が必要証拠金になります。レバレッジ5倍ということです。
20万の取引に、40,000円の証拠金が必要ということになります。

有効証拠金とは

「有効証拠金」とは、証拠金として入金しているお金のうち有効な金額です。つまり口座残高から含み損を差し引いた金額です。含み益がある場合は、口座残高に含み益を足した金額になります。
証拠金を100万円預けていても、含み損が30万円あれば、有効な証拠金は100−30=70万円になります。

有効証拠金

証拠金維持率とは

「証拠金維持率」とは、必要な証拠金に対して有効な証拠金がどれくらいの割合かをあらわした数字です。この数字で、口座に有効なお金がどれくらいあるのかわかります。

計算方法

証拠金維持率 = 有効証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100

【具体例】
運用資金:100万円
必要証拠金:10万円
含み損:-30万円
証拠金維持率 =(1,000,000 - 300,000)÷ 100,000 × 100 = 700%

証拠金維持率が何%以下になるとロスカット、というようにロスカットルールが決まっています。

証拠金維持率は、ロスカットになるかどうか判断する目安になる数値なのです。

ロスカットとは

「ロスカット」とは、含み損がふくらみ、決められた証拠金維持率を下回った時、自分の意志ではなく、証券会社によってポジションを強制決済されることです。

私は「損切り」と「ロスカット」を使い分けています。

  • 損切りとは自分の設定した値段や、自分の意志で、ポジションを決済をして損を確定させることです。
  • ロスカットとは有効証拠金が必要証拠金を下回った場合に、証券会社によって行う強制一括決済のことです。

ロスカットルールとは

ロスカットルールとは、証拠金維持率が何%以下になるとロスカットが発生するのかを定めたルールです。各会社でロスカットルールを定めています。

CFDの場合、証拠金維持率が50%だったり、75%だったり、ロスカットルールは口座によって様々です。

私が知る限りでは、多くの会社が証拠金維持率が100%以下になるとロスカットが発生する、または追証が発生するルールを採用しています。

トライオートETFも証拠金維持率100%がロスカットルールです。

証拠金維持率100%とは有効証拠金と必要証拠金が同額の時です。

【証拠金維持率100%とは】証拠金維持率は100%

ロスカットされない基準を保つ、証拠金維持率を100%以上にするということは、有効証拠金が必要証拠金より多くあればいいのです。簡単に言うと「口座残高と含み損益の合計」が、「必要証拠金」以上あればいいということです。

【証拠金維持率100%でロスカットの考え方】証拠金維持率は100%

ロスカットされないための具体策

ロスカットについて理解できたら、次は具体策です。

最大含み損を計算する

私はCFD・ETF自動売買を始める前に、必ずその設定の最大含み損を計算しています

必要証拠金を計算して、それ以上のお金を口座に入金していても、含み損がどんどん増えていったら、そのうちロスカットされます。

重要なのは、設定の最大含み損を計算することなのです。

ロスカットを防げるかどうかは、含み損を把握できるかどうかにかかっています。

「必要証拠金」と「最大含み損」より多い金額を用意すればロスカットされないということを忘れないで下さい。
運用資金

最大含み損の計算方法

これは、あくまで私の計算方法になります。そして、損切り設定をして自動売買を行う手法に限定されます。

まず、最大含み損を計算するために、いくらの下落に耐えられる設定にするか、下落幅を決めなくてはなりません。私の場合は、その下落幅の価格からポジションを一つずつ損切り設定しています。

トライオートETFで、日経225ETFの設定を例に、最大含み損を計算してみます。必要証拠金は取引額の20%で計算しています。

設定の内容

  • 設定する幅:1,400円(20,600~22,000円)
  • 買う間隔:200円間隔
  • 注文本数:8本
  • 購入単位:10単位
  • 損切り幅:7,000円

この損切り幅をいくらにするかは、難しいところですが、私は過去の株式相場の大きな下落幅を参考に損切り幅を考えるようにしています。

今回は一番高値の22,000円の約30%で計算して、損切り幅は7,000円です。

30%で足りないと判断する場合は、下落幅を40%、50%に変更したり、30%では大きすぎると判断する場合は、10%、20%に減らして計算してください。

まず、自動売買の設定をエクセルに落とし込みます。このエクセルを「リスク試算表」と呼んでいます。注文する価格、購入単位、損切り幅を入力して、計算式で、注文ごとの含み損、必要証拠金を算出しています。

購入価格 購入単位 含み損
(15,000円の時)
損切価格
(-7,000円の時)
必要証拠金
(20%)
22,000 10 -70,000 15,000 -44,000
21,800 10 -68,000 14,800 -43,600
21,600 10 -66,000 14,600 -43,200
21,400 10 -64,000 14,400 -42,800
21,200 10 -62,000 14,200 -42,400
21,000 10 -60,000 14,000 -42,000
20,800 10 -58,000 13,800 -41,600
20,600 10 -56,000 13,600 -41,200
合計 80 -504,000 - -340,800

一番高値のポジションの損切りが発生する15,000円が損切りスタート価格になります。この損切りスタート価格15,000円での含み損の合計を最大含み損としています。

  1. 最大含み損:-504,000円
  2. 必要証拠金:-340,800円
  3. 必要資金の目安:504,000 + 340,800= 844,800円以上

844,800円以上あれば、-7,000円までの下落まで耐えることができる、と計算できました。15,000円からさらに下がり続けたら、一本ずつ損切りをしていきます。

私は、自動売買の注文を出す前に、この試算表で含み損を計算し、リスクを納得してからスタートしています。このルールを守っていれば、用意すべき金額が事前にわかりますし、想定以上の損失を出すことは、ほぼありません。

エクセルで計算するのは、ちょっとハードルが高いなと感じる人には、証券会社が必要資金の目安を公開していますので、それを参考にしてもいいと思います。私のリスク試算表も配布しているので、利用も可能です。

【私が利用している「リスク試算表」のエクセルを配布しています】

リスク試算表のダウンロードページはこちら

【GMOクリック証券の場合の最大含み損と必要証拠金だけでは足りない】

GMOクリック証券の場合、独自のロスカット・証拠金ルールが適用され、計算方法もちょっと違います。こちらの記事で日経225CFDの必要資金を計算していますので参考にしてみてください。

過去の下落幅を参考に設定を考える

下落幅については、自分の予算で勝手に判断せず、過去を参考にしてどこで損切りするか、どこまで耐える設定にするか考えたほうがいいです。

リーマンショック級の下落を想定にするなら、50%の下落まで耐えられる設定を考えるのが安心です。代表的な株価指数は全て50%以上下落しました。

リーマンショック時の主な株価指数下落率
株価指数 下落率 下落期間
日経平均 約-60% 15ヵ月
NYダウ 約-50% 17ヵ月
FTSE100 約-50% 17ヵ月

コロナショックでの下落は2020年5月末の段階では以下のとおりです。コロナショックのすごさは、何と言っても下落するスピードの速さでした。大きな下落は数ヶ月を要するのが普通ですが、コロナショックの急落はたった一ヶ月。これが恐怖をさらにあおりましたね~。

コロナショック時の主な株価指数下落率
株価指数 下落率 下落期間
日経平均 約-33% 約1ヵ月
NYダウ 約-38% 約1ヵ月
FTSE100 約-36% 約1ヵ月

損切り価格まで下落しても自動売買をやめない

万が一、損切り価格近辺まで下落してきた場合には、どのように対応するのか。損切り価格まで下落してくると、冷静な判断ができなくなります。2020年のコロナショックの私がそうでした。

負けないための手段は二つだと思っています。

①設定どおりに1本ずつ損切りして、相場の反転を待つ
②損切り価格を引き下げ、必要資金を計算しなおして、追加資金を投入する

お金があるのであれば②をおすすめしたいです。

怖くなって、一括ですべてを損切りして自動売買を停止するのが一番よくないパターン。少しずつ損切りして耐えて、株価が反発するのを待つほうが利益につながると思います。

リスク分散する

リスク分散は投資の基本ルールですよね。自動売買でも同じです。

CFD・ETF自動売買でのリスク分散方法には以下の3つがあります。

  1. 「銘柄」を分散する
  2. 「買い」と「売り」に分散する
  3. 「時期」を分散する

「銘柄」を分散する方法

資金に余裕があるなら「銘柄」は複数に分散します。しかし、株価指数は、だいたいどれも同じような動きをして、下がるときはみんな下がります。
FXほどリスク分散効果は期待できません

そうは言っても、銘柄によって下落幅が小さかったり、下落後の戻りが早かったり、違いはあるので、やはり一つの銘柄に全資金を投入するより、複数の銘柄に分散したほうがリスクを減らせます。

「買い」と「売り」に分散する方法

CFDやトライオートETFなら株価指数を「売り」で運用できます。「売り」の自動売買もできます。

株価は長期的には上昇するものと思っているので、私は「売り」はやっていませんが、高騰が続いている場合や上がり過ぎなどの状況では、「買い」は控えめにして「売り」も取り入れると効率良く運用できると思います。

あくまで、「売り」は短期限定でおすすめします。

「時期」を分散する方法

最初に全資金をすべて使って運用スタートするのではなく、積み立てのように少しづつ自動売買を追加して、自動売買の時期を分散するのです。そうすることで、違う価格範囲に自動売買を仕掛けることができます。

株価が値下がりしたときに、自動売買を追加できると威力を発揮します。

欲を出しすぎない

自動売買を運用してみると、最初はおもしろいように利益が出るので、うれしくなります。

そうなると、人間は欲が出てしまい、リスクを取りすぎてしまいます。利益をもっと増やそうと設定間隔を狭くしたり、購入単位を増やしたりしてしまうのです。

そんな時にもリスク試算表は役に立ちます。

リスク試算表のルールを守っていれば、欲の出た設定を考えても、必要資金が増えるだけ。増えた分の資金が用意できるのであれば問題はありませんが、たいていの場合、設定だけを買えようとするパターンになりがちなので要注意です。

危険なパターン

・損切り幅を小さくして、必要資金を減らそうとする
・これ以上は下がらないだろうと勝手に判断して損切りも設定しない

株式相場では、30%くらいの下落は1年に一度くらいは発生する覚悟で設定を考えよう!

リスク管理のまとめ

CFD・ETF自動売買で失敗しないための対策について説明しました。

ここ数年、CFD・ETFでもFXでも同じように対策を実践しています。このリスク管理方法は完璧だとは言い切れませんが、私は有効だと思っています。

これ以上の安全を求めるのであれば、レバレッジ取引はあきらめて、現物取引での運用をおすすめします。

コロナショックでは下落が急すぎて、恐怖からCFD・ETFはすべて一括損切り。強制ロスカットではなく、自分の判断での損切りです。余裕を持っていたつもりでしたが、冷静になれませんでした。

損切りせず、設定どおりに運用を続けていれば、株価の反発により、今頃は利益を生みだせていたな、、、と。冷静になれないということは、自分の資金力・精神力に対して余裕がたりない設定だったのだと思います。

現在は、日経225CFDとナスダックトリプルETFは、設定をみなおし自動売買を再開しています。

FXでもCFDでも、損切り幅をどれくらいにするか?を考えるのが、難しいなぁと日々感じています。リーマンショック、コロナショックの経験を、今後の運用に生かしたいと思います。

リスク管理の教訓

最悪の事態を想定し、そうなったとしても、冷静に運用を続けられる設定を心がけよう!

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