ETFの自動売買を始めるとき、最初はいろいろ悩みます。
- いくら用意すればいいのか?
- どのETFを選べばいいのか?
- どんな設定で自動売買すればいいのか?
この記事では、安全にETF自動売買を始められるよう運用資金の決め方、運用プランの決め方について解説していきます。
目次
手順①:運用する予算を決める
運用資金の決め方はFX、ETF、CFD自動売買において共通です。基本的なルールは「少額からスタートする」です。
ETF自動売買は、FXやCFDと比べると少額からスタートできます。なぜなら、売買最小単位の金額が小さいからです。日経225ETFなら最小単位1口(株価×1)から買えるので約30,000円です。
FXでUSD/JPYは最小単位1口が1,000なので、約110,000円。
CFDで日経225なら最小単位1口(株価×10)で、約300,000円。
ETFのほうが最小単位の金額が小さいことがわかります。
できるだけ予算を少額からスタートしたいという場合には、ETF自動売買はおすすめです。
少額からスタートすると言っても、運用する予算というものは、人によって異なりますよね。でも共通して言える注意すべき点は3つあります。
- 運用資金は余裕資金から使う
- 余裕資金の考え方を知っておく
- 予算を最初から全額はつっこまない
運用資金の決め方はFX、CFD自動売買と同様で、こちらで詳しく説明していますので参考にしてみてください。そしてスタート時の予算を決めていってください。
手順②:自動売買ができるETFから選ぶ
運用資金はいくらで始めるかが決まったら、次は運用する銘柄を決めます。
トライオートETFで自動売買ができるETFを紹介していきます。
国内株式に投資するETF
日経225連動型上場投資信託
東証1部に上場する日本を代表する225銘柄で構成される日経平均株価指数に連動するETFです。
TOPIX連動型上場投資信託
東証1部に上場している全銘柄を対象にしたトピックス指数に連動するETFです。
米国の株式に投資するETF
SPDR ®S&P 500® ETF
アメリカを代表するS&P500に連動するETF。世界的に有力な企業500社で構成され、米国大型株ETFの中では取引高が最大です。
パワーシェアーズ QQQ 信託シリーズ1
アメリカを代表するナスダック100指数に連動するETFです。
金融セレクト・セクター SPDR® ファンド
アメリカの金融セクターで最大規模のETFです。
生活必需品セレクト・セクター SPDR® ファンド
P&Gやコカコーラ、コストコなど、ニーズが安定し、普段の生活に密着した商品を提供する企業で構成されているETFです。
エネルギー・セレクト・セクター SPDR® ファンド
アメリカのエネルギー関連企業ETFで最大規模のETF。エクソンモービル、シェブロン等をはじめとした石油関連銘柄で構成されています。
公益事業セレクト・セクター SPDR® ファンド
アメリカの公益関連事業関連の大型株で構成されるETFで、電力、ガス、水道企業のほか、独立系発送電事業等を行う企業で構成されています。
一般消費財セレクト・セクター SPDR® ファンド
ウォルトディズニー、スターバックスなど人々の生活に馴染みのある有名企業で構成されているETFです。
テクノロジー・セレクト・セクター SPDR® ファンド
アメリカのテクノロジー関連で人気No.1のETF。アップル社、IBM、マイクロソフト社が順に名を連ねており、この3社だけでファンド全体の約30%を占めています。
資本財セレクト・セレクター SPDR® ファンド
航空宇宙・防衛・建設関連製品、建設、土木、電気設備、航空貨物・物流サービス等のインフラ関連企業で構成されているETFです。
iシェアーズ ラッセル1000バリューETF
アメリカの大型株で構成された指数であるラッセル1000指数に組み込まれている銘柄の中でもバリュー銘柄(割安)に焦点を当てた指数に連動するETFです。
iシェアーズ ラッセル 2000 ETF
アメリカの小型株約2000銘柄で構成されるラッセル2000指数に連動するETFです。
外国株式に投資するETF
iシェアーズ MSCI ACWI ETF
米国のアップルやアマゾン、日本のトヨタ自動車、インドのタタモーターズなど新興国を含む世界40カ国以上の代表銘柄が採用され、グローバルの株式市場の85%をカバーする株価指数、MSCI ACWIに連動するETFです。この1本で全世界への分散投資が可能です。
ウィズダムツリー・欧州・ヘッジド・エクイティ・ファンド
ヨーロッパの主要銘柄へ投資すると同時に、ユーロの変動リスクをヘッジできるように設計されているETFです。
バンガード®・FTSE・エマージング・マーケッツETF
中国、台湾、インド、南アフリカ、ブラジル、メキシコ等の新興国の大型・中型株で構成されています 。個人では投資しづらい小型株や中国A株を含む新興国全体に1本で投資が可能です。
iシェアーズ 中国大型株 ETF
香港証券取引所で取引されている大型・中型株式50銘柄を選定して構成される指数に連動したETFです。チャイナモバイル、中国建設銀行といった、中国を代表する銘柄に投資できます。
債券に投資するETF
iシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債ETF
米ドル建てで発行された各国の高利回り社債(ハイイールド債)を選定して作られた指数に連動し、毎月分配があるETFです。
iシェアーズ iBoxx米ドル建て投資適格社債ETF
米国の投資適格とされるBBB以上の格付けを得た米ドル建ての社債で構成される指数と連動し、毎月分配があるETFです。
商品に投資するETF
WTI原油連動ETF
WTI原油先物価格の動きに連動するETFです。
SPDR® ゴールド・シェア
金地金の価格の動きに連動するETFです。
レバレッジ商品に投資するETF
(NEXT FUNDS)日経平均レバレッジ上場投信
日経平均株価変動率に対して2倍の値動きになるように設計されたETFです。
(NEXT FUNDS)日経ダブルインバース上場投信
日経平均株価変動率に対してマイナス2倍の値動きになるように設計されたETFです。
プロシェアーズ ウルトラS&P500®
S&P500指数の変動率の2倍の値動きになるように設計されたETFです。
Direxion デイリー米国金融株ブル3倍 ETF
米国大型金融株に投資ができるだけでなく、指数の変動率の3倍の値動きになるように設計されたETFです。
プロシェアーズ ウルトラプロQQQ
ナスダック100指数の変動率の3倍の値動きになるよう設計されています。
以上がETFの種類になります。どのETFがいいのか?ということは誰にも言えません。ここは自分興味のある分野を選ぶのがいいと思います。
タイプ別にアドバイスするとしたら、
最初は良く知っている馴染みのある指数で始めたいなら、日本を代表する「日経225ETF」かアメリカを代表する「S&P500ETF」がおすすめです。
自動売買は値動きがあってこそ稼げるので、値動きの荒いレバレッジ商品がおすすめです。ナスダック100の3倍の値動きをする「プロシェアーズ ウルトラプロQQQ」は自動売買では人気ETFです。
「iシェアーズ MSCI ACWI ETF」はこれ一つで全世界に分散投資するのと同じ効果が得られるETFです。ETFのメリットを活かせる商品と言えます。
トライオートETFの銘柄についての詳しい情報はインヴァスト証券トライオートETFのサイトに詳しく掲載されています。
手順③:ETF自動売買の設定を決める
運用資金も決まって、ETFを選んだら、次は自動売買の設定です。予算に対する設定の決め方を説明していきます。
設定に必要な6項目を決める必要があります。
決めた設定の必要資金が予算内におさまればOKです。
- 注文を出す間隔
- 利益を確定する幅
- 上限レート
- 購入単位
- 何本注文を出すか、自動売買を設定する範囲
- 損切り設定の幅
予算30万円の自動売買で説明
まずは、運用資金が30万円の場合の設定方法について説明します。運用資金がもっと多い場合、少ない場合もあると思いますが、基本はこの考え方を応用していくだけです。
必要な運用資金は「必要証拠金」と「最大含み損」の合計よりも多くなければいけません。この場合、「必要証拠金」と「最大含み損」の合計が30万以下になればいいのです。
「最大含み損」を計算するためには、いくらまでの下落に耐えられる設定にするか、「下限の価格」を決めなくてはなりません。いわゆる「損切り幅」ですね。私の場合は、その下限価格から損切り設定をスタートさせます。
過去の下落幅から損切り幅を決める
ETF自動売買の場合、約30%の下落を目安に損切りを設定していましたが、コロナショック以降は50%以上ないと安心できないと思っています。50%の下落とは、20,000円が10,000円まで下落するイメージです。
S&P500ETFの20年間チャート
代表的な株価指数は、過去のチャートを見ても、15~20%の大きな下落を繰り返し上昇していきます。30%以上も下落する場合は、1~2年以上かけて下落していました。
しかしコロナショックではたった一ヶ月の間に36%急落しました。30%の下落の想定で運用していると、心に余裕が持てなくなりました。ですから、株価指数は50%以上の下落を心がける必要があると考えるようになったのです。可能なら99%の下落にも耐えられる設定にしたいです。
株価指数 | 下落率 | 下落期間 |
日経平均 | 約-60% | 15ヵ月 |
NYダウ | 約-50% | 17ヵ月 |
FTSE100 | 約-50% | 17ヵ月 |
株価指数 | 下落率 | 下落期間 |
日経平均 | 約-33% | 1ヵ月 |
NYダウ | 約-38% | 1ヵ月 |
FTSE100 | 約-36% | 1ヵ月 |
リーマンショック、コロナショックのような下落を視野に入れて、50%以上の下落でも耐えれれる設定、つまり損切り幅は50%以上がいいでしょう。
損切り設定をしない場合は、下限価格を超えて暴落した場合に、すべてのポジションがロスカットされます。それでも良いと納得の上で運用していれば問題ありませんが、そうなることをきちんと理解して運用するようにしましょう。
リスク試算表を利用して設定を考える
設定に必要な資金は、下限(損切りスタート価格)での最大含み損と必要証拠金の合計が目安です。私が使っているリスク(損失)を見える化した「リスク試算表」を使って、最大含み損と必要証拠金を計算していきます。エクセルを使ったオリジナルの試算表です。
このリスク試算表を作成すると、自動売買設定の内容、リスクを細かく理解できます。
注文一本ごとにいくら含み損をかかえて、いくらになると損切りが発生するのか、リスクを見える化することができるのです。
表には買い注文を設定する価格を一番左のセルに設定し、損切りが発生する価格を設定して、最大含み損と必要証拠金を計算します。
まず、日経225ETFの自動売買の設定を例に計算してみます。日経平均株価29,000円を上限として~買い下がっていく自動売買で、予算30万でできる設定を考えます。購入する間隔、購入単位を予算にあうよう変更して、3パターン考えてみました。
私はETF自動売買の場合、損切りは約50%の下落を目安に設定していますので、上限価格29,000から14,500円下落した価格で計算しました。
100円間隔の場合
購入価格 | 購入単位 | 含み損 (14,500円の時) |
損切価格 (-14,500円の時) |
必要証拠金 (20%) |
29,000 | 1 | -14,500 | 14,500 | -5,800 |
28,900 | 1 | -14,400 | 14,400 | -5,780 |
28,800 | 1 | -14,300 | 14,300 | -5,760 |
28,700 | 1 | -14,200 | 14,200 | -5,740 |
28,600 | 1 | -14,100 | 14,100 | -5,720 |
28,500 | 1 | -14,000 | 14,000 | -5,700 |
28,400 | 1 | -13,900 | 13,900 | -5,680 |
28,300 | 1 | -13,800 | 13,800 | -5,660 |
28,200 | 1 | -13,700 | 13,700 | -5,640 |
28,100 | 1 | -13,600 | 13,600 | -5,620 |
28,000 | 1 | -13,500 | 13,500 | -5,600 |
27,900 | 1 | -13,400 | 13,400 | -5,580 |
27,800 | 1 | -13,300 | 13,300 | -5,560 |
27,700 | 1 | -13,200 | 13,200 | -5,540 |
合計 | 14 | -193,900 | - | -79,380 |
200円間隔の場合
購入価格 | 購入単位 | 含み損 (14,500円の時) |
損切価格 (-14,500円の時) |
必要証拠金 (20%) |
29,000 | 2 | -29,000 | 14,500 | -11,600 |
28,800 | 2 | -28,600 | 14,300 | -11,520 |
28,600 | 2 | -28,200 | 14,100 | -11,440 |
28,400 | 2 | -27,800 | 13,900 | -11,360 |
28,200 | 2 | -27,400 | 13,700 | -11,280 |
28,000 | 2 | -27,000 | 13,500 | -11,200 |
27,800 | 2 | -26,600 | 13,300 | -11,120 |
合計 | 14 | -194,600 | - | -79,520 |
500円間隔の場合
購入価格 | 購入単位 | 含み損 (14,500円の時) |
損切価格 (-14,500円の時) |
必要証拠金 (20%) |
29,000 | 3 | -43,500 | 14,500 | -17,400 |
28,500 | 3 | -42,000 | 14,000 | -17,100 |
28,000 | 3 | -40,500 | 13,500 | -16,800 |
27,500 | 3 | -39,000 | 13,000 | -16,500 |
27,000 | 3 | -37,500 | 12,500 | -16,200 |
合計 | 15 | -202,500 | - | -84,000 |
100円間隔、200円間隔、500円間隔ともに、最大含み損と必要証拠金の合計は約30万になっています。日経平均が14,500円以上であれば、運用資金30万円で、損切りされることなく運用できます。
間隔や購入単位、設定幅などを変更することで、同じ予算でもいろいろなプランが考えられます。
設定を決めるうえで大事な条件
上記の法則を守って、設定幅、購入間隔、損切り価格などを自由に設定してみてください。もちろん、50%の下落を想定するかどうかも自由です。10%で十分と考えるなら、10%下落まで耐えられる計算で資金を用意すればいいと思います。
リスク試算表のダウンロード
エクセルの計算式が苦手な方でも、入力欄に必要な数値を入れることで、自動で計算してくれるリスク試算表を作成しました。エクセルは【損切り設定あり版:必要資金の計算シミュレーション】と【損切り設定なし版:ロスカットレートのシミュレーション】で構成しています。
【損切り設定あり版】は、事前に損切りの価格を決めます。そうすることで、入力した自動売買の設定によって必要な資金の試算ができます。
【損切り設定なし版】は、事前に運用資金を決めます。入力した自動売買の設定によっていくらまで下がるとロスカットされるのか、ロスカットレートが自動で計算できます。
インヴァスト証券の「ビルダー」を利用する方法
トライオートETFを利用するには、インヴァスト証券にETF口座を開く必要がありますが、そのトライオートETFの取引ページでも、自分で考えた運用プランごとに必要資金(推奨証拠金)の計算ができるようになっています。それが「ビルダー」です。
「ビルダー」は推奨証拠金を提示してくれるだけでなく、過去にさかのぼってそのプランの成績もシミュレーションしてくれます。
私はいつも「ビルダー」で注文を出す前にシミュレーションをしています。便利ですので活用してみてください!
下の画像は日経225ETFを31,000円を上限(スタート価格)に、100円間隔で20本の自動売買を設定したビルダーの注文画面です。
(インヴァスト証券ホームページより)
- 「売」「買」を選択します。
- レンジ幅には自動売買を設定する幅を入れます。
- 本数には、注文を出す本数を入れます。
- 数量には、1本の注文で買う量を入れます。
- スタート価格には、設定する中で一番高い価格を入れます。(スタート価格で逆指値注文しないので「OCO」チェックしません)
- 利益幅には決済する幅を入れます。
- 損切り幅には損切りする幅を入れます。チェックしないと損切りの設定はされません。
設定幅を超えて上値を自動追従しないのでフォロー値はチェックしません。自動追従する場合は、次の注文を出す順張り方向の幅を入れます。 - カウンター値には、決済後に利益幅引いた金額で再度注文を出すので、利益幅のマイナスを入れます。
- カウンター固定にチェックを入れます。
下の画像は少しみずらいですが、シミュレーション結果と推奨証拠金が提示されています。
トライオートETFのビルダーから計算される推奨証拠金の目安は約180,000円となっています。これは私の考える必要資金よりかなり少ない試算です。注文20本すべてが約定しているとしたら、180,000円では、日経225ETFが27,000円まで下がったらロスカットになります。トライオートの推奨証拠金を目安にする場合はこの点に注意してください。
トライオートETFの推奨証拠金は、直近の最大下落をもとに計算しているので、私の計算方法より少ない予算で算出されてしまいます。設定を考える時は、「最大含み損」と「必要証拠金」を計算したほうが安全です。その合計が予算内であれば、損切り設定価格まではロスカット無しで運用はできます。
トライオートETFの自動売買のやり方や「ビルダー」についての詳しい情報はインヴァスト証券トライオートETFのサイトを参照ください。
手順のまとめ
ETFの自動売買を始める手順①~③について解説してきました。
ETF自動売買はCFDと比較すると、始めやすいのではないかと思います。完全自動売買システムもありますし、少額からスタートできるので。
トライオートETFはインヴァスト証券独自のシステムなので、証券会社選びで悩む必要もありません。しかし銘柄がいろいろあるので、銘柄選びは悩ましいかもしれません。投資信託のような感じですね。
まずは自分でプランを作ってみて下さい。納得できる設定が見つかったら、いよいよETF自動売買のスタートです!