EUR/USD(ユーロ/米ドル)は世界で最も取引されている通貨ペアです。変動幅が大きいイメージですが、ここ数年は狭い範囲でレンジ相場なので、自動売買しやすいと思います。クロス円とは異なる動きをするので、リスクヘッジにもなります。運用中の自動売買の設定や運用成績、リスク管理について紹介していきます。
目次
EUR/USDの20年間長期チャート
2000年から2021年のEUR/USD長期チャートです。
EUR/USDの最高値と最安値
EUR/USD20年間の動きは、約1.2ドルを中心に上がったり下がったりしています。
最高値は1.603ドル、最安値は0.8225ドルでした。
この20年チャートを参考に、私は大まかな売りと買いの範囲をイメージします。
買いゾーン:0.8~1.3ドル
売りゾーン:1.1~1.6ドル
むやみに自動売買を設定するのではなく、長期間の値動きを把握することで、現在の価格のポジションを理解して、買いゾーンなら「買い」を、売りゾーンなら「売り」を中心に増やしていきます。できるだけ含み損や損切りを抑えようという考えから、このゾーン分けを実施しています。
EUR/USDの現在のポジション
現在は、中心ラインの1.2ドルあたりのゾーンで推移しています。20年間で見ると両建てゾーンであると言えます。EUR/USDは「買い」の場合はマイナススワップになります。金利差が大きいため額も大きいので長期保有するとかなり負担になるので注意が必要です。
EUR/USDは現在「両建て最適ゾーン」である
買いのマイナススワップが大きいで注意
過去の変動幅から損切り幅を決める
過去の最安値、最高値まで耐えられる自動売買がベストです。
過去の最安値、最高値までレートが推移しても損切りされないような自動売買の設定であれば、100%安全とは言えませんが、かなり安全です。
最安値、最高値までの値幅は?
現在の1.1ドルあたりから自動売買をスタートした場合、
最安値:0.8225ドルまで約2,800pips
最高値:1.603ドルまで約5,000pips
これを忠実に守っていくと必要資金も増えて資金効率が悪くなります。
私の場合、数年は損切りが発生しにくい自動売買にするため、直近1~3年の変動幅を参考にして、損切り幅を決めています。
期間ごとの変動幅
EUR/USDは、過去21年間のデータから年間平均1,910pips変動します。
以下の表は直近月末をスタート基準にしてEUR/USDの変動幅を期間ごとに算出したものです。期間が長くなるほど変動幅は大きくなります。
1か月 | 半年 | 1年 | 3年 | 5年 | 10年 | 20年 |
236 | 492 | 690 | 2,215 | 2,215 | 4,599 | 7,810 |
(スタート基準:2019年12月末/単位:pips)
pipは為替レートの最小単位のことで、色々な国の通貨ペアの動きを表現するのに共通で使用される単位です。
1pip=0.01円=1銭、1pip=0.0001ドル、1pip=0.0001ユーロ
1000pips=10円、1000pips=0.1ドル、1000pips=0.1ユーロ
対円だけ0.01ですが、他はすべて1pip=0.0001で覚えておけばOKです。
EUR/USDが20年間で7,810pisp変動があったということは、約0.78ドルの変動があったということです。約86円の動きがあったとも言えますが、このように各国の通貨の動きを円で表現するのは適切ではありません。その時のレートで変わってくるからです。日本円とのペアでは、単位を円で考えたほうが分かりやすいため円で表記しましたが、その他では、全通貨共通で使用されるこの単位「pips」のほうが分かりやすいと思います。
EUR/USDの年間平均変動幅や直近の変動幅を見ると、2,000pips以上の損切り幅があれば、数年は損切りされにくいと言えます。仮に損切り価格までレートが変動した場合でも、2,000pips以上レートが変動するには数年かかりますし、その間の売買利益も積みあがっているので、損切幅を広げて損切りを回避することもできます。思い切って数本を損切りしたとしても、売買を継続することでその分は取り戻せます。
EUR/USDは2,000pips以上の損切り幅がおすすめ
損切り幅は過去の最安値がベストだが、最初は1~3年耐えられる設定で十分
数年の運用利益で、損切り幅を広げていけばいい
運用中の自動売買設定情報
設定の内容
2020年からこの2種類の設定でEUR/USDの自動売買を運用しています。
設定の決め方についてはこちらを参考にしてください。
設定内容 | 設定① | 設定② |
注文間隔 | 100pips | 100pips |
売買 | 買 | 売 |
利益幅 | 100pips | 100pips |
注文数 | 20本 | 20本 |
損切り | -2,000pips | -2,000pips |
設定ごとの必要資金はいくら?
注文間隔ごとの必要資金の目安です。最大含み損と必要証拠金の合計が必要資金の目安になります。「買い」と「売り」の両建て自動売買の場合、含み損は片方が増えれば片方が減るというふうに重複しないので、相殺して一緒にまとめて考えています。両建ては「買い」を2セット運用するより必要資金は少なくなるのです。
必要資金の計算方法についてはこちらを参考にしてください。
設定間隔 | 必要資金の目安 | 最大含み損 |
設定①② 100pips 買・売 |
340,000円 | -231,000円 |
ロスカットされないためのリスク管理・必要資金の計算方法
リスク試算表を使ってそれぞれの設定で必要資金、最大含み損を計算し、リスク管理を行います。ロスカットされないために重要なのは、最大含み損を把握すること。運用資金が最大含み損と必要証拠金より多くあればいいのです。
【重要ポイント!】
必要資金の計算方法
自動売買の必要資金をリスク試算表を使って計算します。購入単位はすべて1,000通貨です。必要証拠金はUSD/JPYのレートによって変動しますので、現在の証拠金を暫定値で設定してあります。
設定①(100pips間隔、注文数20本、買い)
注文価格 | 含み損 (1.0の時) |
損切価格 (-2,000pips) |
損切の 損失額 |
必要証拠金 (暫定値) |
---|---|---|---|---|
1.20 | -200 | 1.00 | -200 | -5,100 |
1.19 | -190 | 0.99 | -200 | -5,100 |
1.18 | -180 | 0.98 | -200 | -5,100 |
1.17 | -170 | 0.97 | -200 | -5,100 |
1.16 | -160 | 0.96 | -200 | -5,100 |
1.15 | -150 | 0.95 | -200 | -5,100 |
1.14 | -140 | 0.94 | -200 | -5,100 |
1.13 | -130 | 0.93 | -200 | -5,100 |
1.12 | -120 | 0.92 | -200 | -5,100 |
1.11 | -110 | 0.91 | -200 | -5,100 |
1.10 | -100 | 0.90 | -200 | -5,100 |
1.09 | -90 | 0.89 | -200 | -5,100 |
1.08 | -80 | 0.88 | -200 | -5,100 |
1.07 | -70 | 0.87 | -200 | -5,100 |
1.06 | -60 | 0.86 | -200 | -5,100 |
1.05 | -50 | 0.85 | -200 | -5,100 |
1.04 | -40 | 0.84 | -200 | -5,100 |
1.03 | -30 | 0.83 | -200 | -5,100 |
1.02 | -20 | 0.82 | -200 | -5,100 |
1.01 | -10 | 0.81 | -200 | -5,100 |
合計 | -2,100$ | - | -4,000$ | -102,000円 |
- 最大含み損:-2,100ドル(-231,000円)
- 最大損切りリスク:-4,000ドル(-440,000円)
- 必要証拠金:-102,000円
- 必要資金の目安:231,000 + 102,000=333,000円以上
USD/JPY=110円で計算しています。
設定②(100pips間隔、注文数20本、売り)
注文価格 | 含み損 (1.28の時) |
損切価格 (+2,000pips) |
損切の 損失額 |
必要証拠金 (暫定値) |
---|---|---|---|---|
1.08 | -200 | 1.28 | -200 | -5,100 |
1.09 | -190 | 1.29 | -200 | -5,100 |
1.10 | -180 | 1.30 | -200 | -5,100 |
1.11 | -170 | 1.31 | -200 | -5,100 |
1.12 | -160 | 1.32 | -200 | -5,100 |
1.13 | -150 | 1.33 | -200 | -5,100 |
1.14 | -140 | 1.34 | -200 | -5,100 |
1.15 | -130 | 1.35 | -200 | -5,100 |
1.16 | -120 | 1.36 | -200 | -5,100 |
1.17 | -110 | 1.37 | -200 | -5,100 |
1.18 | -100 | 1.38 | -200 | -5,100 |
1.19 | -90 | 1.39 | -200 | -5,100 |
1.20 | -80 | 1.40 | -200 | -5,100 |
1.21 | -70 | 1.41 | -200 | -5,100 |
1.22 | -60 | 1.42 | -200 | -5,100 |
1.23 | -50 | 1.43 | -200 | -5,100 |
1.24 | -40 | 1.44 | -200 | -5,100 |
1.25 | -30 | 1.45 | -200 | -5,100 |
1.26 | -20 | 1.46 | -200 | -5,100 |
1.27 | -10 | 1.47 | -200 | -5,100 |
合計 | -2,100$ | - | -4,000$ | -102,000円 |
- 最大含み損:-2,100ドル(-231,000円)
- 最大損切りリスク:-4,000ドル(-440,000円)
- 必要証拠金:-102,000円
- 必要資金の目安:231,000 + 102,000=333,000円以上
USD/JPY=110円で計算しています。
EUR/USD 過去の運用実績
過去の実績をみると、EUR/USDは100pips間隔の自動売買では、月間平均利益はおよそ1,000~2,000円ぐらいです。「買い」「売り」の両建てで運用を行えば、月に3,000円~4,000円になります。
2018年 1年間の運用成績
100pips間隔 | 利益 | スワップ | 月間 平均利益 |
買い | 18,813 | -2,676 | 1,614 |
売り | 29,556 | 3,081 | 2,720 |
※3月~12月までの運用成績です。
2019年 1年間の運用成績
100pips間隔 | 利益 | スワップ | 月間 平均利益 |
買い | 16,315 | -3,382 | 1,077 |
売り | 20,251 | 3,978 | 2,019 |
2020年 1年間の運用成績
買いの自動売買では、マイナススワップが大きく、決済利益をすべて消し去ってマイナスになってしまいました。
100pips間隔 | 利益 | スワップ | 月間 平均利益 |
買い | 51,127 | -69,386 | -1,521 |
売り | 37,293 | 3,250 | 3,378 |