金融セレクト・セクター SPDR® ファンド(以後、金融株)は、アメリカの金融株で構成されるETFです。金融セクターのETFでは最大規模です。商業銀行、資本市場、各種金融サービス、保険、不動産等の企業で構成されています。ゴールドマンサックスやシティ銀行といった世界的な投資銀行も数多く含まれ、出来高の多い商品です。
金融株はリーマンショックなど金融不安のときに影響が出やすいです。一般的に、金融株は金利が低く、景気がよい時期に、人気になるセクターと言われています。
金融セレクト・セクター SPDR® ファンドの自動売買ができるのはインヴァスト証券のトライオートETFです。
目次
金融株の20年長期チャート
(単位:米ドル)
金融株の長期での動きは、リーマンショック時に84%ほど大きく下落しました。さすが金融株だけあって金融ショックではボロボロでした。
そして2020年のコロナショックでは約1か月で44%急落しました。
公共事業や一般消費財などの他セクターのETFと比べると下落幅も大きいし、リーマンショック以前の価格を超えることができていません。2020年8月現在では、コロナショック以後の反発も他のセクターと比較して戻りが遅いです。
金融株はどれくらい変動するのか
ETFの自動売買をするときに、運用するETFがどれくらい下落するのか知っておくと便利です。リスク管理で必要資金を計算するために、いくらの下落に耐えられる設定にするかを考える必要があるからです。
金融株ETFは、約20年間で大きい下落は5回ありました。その時の下落幅は表の通りです。
2000年 | 2008年 | 2013年 | 2015年 | 2018年 | 2020年 | |
下落幅 | -9.0 | -26 | -5.07 | -4.95 | -8.27 | -14 |
下落率 | -37% | -84% | -36% | -24% | -27% | -44% |
(単位:米ドル)
約30%下落を想定して運用すれば問題ないと思っていましたが、コロナショックを経験し、それでは足りないと実感しました。
金融株は下落幅が大きいので、40~50%の下落に耐えられる設定であれば、通常の大きな下落には耐えられると想定できます。
金融株の設定情報
コロナショックによりETF・CFDはすべて損切りしました。
損切りする前は金融株は以下の設定で自動売買を行っていました。しかし、3月にすべてのポジションを損切りし、確定損失-67,818円。
0.5ドル間隔(買)
- 買う間隔:0.5ドル間隔
- 注文本数:7本
- 購入単位:15
- 決済ルール:0.5ドル上がったら決済
- 損切りルール:9ドル下がったら損切り
金融株のリスク管理
リスク試算表を使ってそれぞれの設定で必要資金、最大含み損を計算していきます。
運用中の自動売買の必要資金はいくら?
現在、金融株ETFの自動売買は運用していません。以前運用していた0.5ドル間隔/15単位の自動売買の必要資金です。
設定間隔 | 必要資金の目安 | 最大含み損 |
0.5ドル間隔 | 220,000円 | -116,495円 |
必要資金の計算方法
以前運用していた0.5ドル間隔/15単位の自動売買で必要な資金を計算します。一番高値の約30%である9ドルの下落まで耐えられるよう、損切りは-9で設定し、一般消費財株の価格が20ドルまで下落した時点での含み損合計を計算しました。
価格 | 購入単位 | 含み損 (20$の時) |
損切価格 (-9$) |
必要証拠金 (暫定値) |
---|---|---|---|---|
29.0 | 15 | -135 | 20.0 | -10,000 |
28.5 | 15 | -128 | 19.5 | -10,000 |
28.0 | 15 | -120 | 19.0 | -10,000 |
27.5 | 15 | -113 | 18.5 | -10,000 |
27.0 | 15 | -105 | 18.0 | -10,000 |
26.5 | 15 | -98 | 17.5 | -10,000 |
26.0 | 15 | -90 | 17.0 | -10,000 |
25.5 | 15 | -83 | 16.5 | -10,000 |
25.0 | 15 | -75 | 16.0 | -10,000 |
24.5 | 15 | -68 | 15.5 | -10,000 |
合計 | 150 | -1,013$ | - | -100,000 |
- 最大含み損:-1,013ドル(-116,495円)
- 必要証拠金:-100,000円
- 必要資金の目安:116,495 + 100,000=216,495円以上
※USD/JPY=115円で計算しています。
リスク試算表から216,495円以上あれば30%(9ドル)の下落に耐えられます。
コロナショックでは高値31.38から安値17.49まで短期間で44%下落しました。9ドルの下落で損切りしていたら、おそらく6~7本の損切り(約9万円の損失)は発生していたでしょう。金融株においては、早めに一括損切りしたほうが、損失は少なくてすみました。
金融株は実際にいくら稼ぐのか
ETF自動売買の運用利益はこちらにまとめています。
金融株は下落幅は大きい割に、通常の値動きが小さいのであまり利益が出ませんでした。他のセクターの方が利益が出しやすい印象です。
コロナショックを経験し、30%の下落幅ではリスク管理が足りないということもわかりました。
しばらく金融株ETFの自動売買はお休みします。金融株は好景気の時期がいいらしいので、今は運用時期ではないと思います。