USD/CAD(ドル/カナダドル)は株価が暴落するようなショック相場、リスクオフ相場の時に上昇する通貨ペアです。リスクオフでは円が買われるので、USD/JPYやクロス円などは、暴落する傾向にありますが、USD/CADは逆の動きをするので、リスクヘッジとして活用できるのです。運用中の自動売買の設定や運用成績、リスク管理について紹介していきます。
USD/CADの自動売買ができるFX会社は、外為オンラインのiサイクルとアイネット証券のループイフダンだけになります。
目次
USD/CADの20年間長期チャート
2000年から2021年のUSD/CAD長期チャートです。
USD/CADの最高値と最安値
USD/CAD20年間の動きは、約1.25カナダドルを中心に上がったり下がったりしています。
最高値は1.618カナダドル、最安値は0.905カナダドルでした。
この20年チャートを参考に、私は大まかな売りと買いの範囲をイメージします。
買いゾーン:0.9~1.3カナダドル
売りゾーン:1.2~1.6カナダドル
むやみに自動売買を設定するのではなく、長期間の値動きを把握することで、現在の価格のポジションを理解して、買いゾーンなら「買い」を、売りゾーンなら「売り」を中心に増やしていきます。できるだけ含み損や損切りを抑えようという考えから、このゾーン分けを実施しています。
USD/CADの現在のポジション
現在は、中心ラインの1.25あたりを推移しています。20年間で見ると両建てに向いているゾーンであると言えます。
USD/CADは現在、中心ライン近辺で「両建て最適ゾーン」である
過去の変動幅から損切り幅を決める
過去の最安値、最高値まで耐えられる自動売買がベストです。
過去の最安値、最高値までレートが推移しても損切りされないような自動売買の設定であれば、100%安全とは言えませんが、かなり安全です。
最安値、最高値までの値幅は?
現在の1.3カナダドルあたりから自動売買をスタートした場合、
最安値:0.905カナダドルまで約4,000pips
最高値:1.618カナダドルまで約3,100pips
これを忠実に守っていくと必要資金も増えて資金効率が悪くなります。
私の場合、数年は損切りが発生しにくい自動売買にするため、直近1~3年の変動幅を参考にして、損切り幅を決めています。
期間ごとの変動幅
USD/CADは、過去21年間のデータから年間平均1,690pips変動します。他の通貨と比較すると変動幅は小さいです。
以下の表は直近月末をスタート基準にしてUSD/CADの変動幅を期間ごとに算出したものです。期間が長くなるほど変動幅は大きくなります。
1か月 | 半年 | 1年 | 3年 | 5年 | 10年 | 20年 |
222 | 370 | 552 | 1,735 | 1,876 | 5,286 | 7,130 |
(スタート基準:2019年12月末/単位:pips)
pipは為替レートの最小単位のことで、色々な国の通貨ペアの動きを表現するのに共通で使用される単位です。
1pip=0.01円=1銭、1pip=0.0001ドル、1pip=0.0001ユーロ
1000pips=10円、1000pips=0.1ドル、1000pips=0.1ユーロ
対円だけ0.01ですが、他はすべて1pip=0.0001で覚えておけばOKです。
USD/CADが20年間で7,130pisp変動があったということは、約0.713カナダドルの変動があったということです。約57円(0.713×CAD/JPYレート)の動きがあったとも言えますが、このように各国の通貨の動きを円で表現するのは適切ではありません。その時のレートで変わってくるからです。日本円とのペアでは、単位を円で考えたほうが分かりやすいため円で表記しましたが、その他では、全通貨共通で使用されるこの単位「pips」のほうが分かりやすいと思います。
USD/CADの年間平均変動幅や直近の変動幅を見ると、1,500pips以上の損切り幅があれば、数年は損切りされにくいと言えます。仮に損切り価格までレートが変動した場合でも、1,500pips以上レートが変動するには数年かかりますし、その間の売買利益も積みあがっているので、損切幅を広げて損切りを回避することもできます。思い切って数本を損切りしたとしても、売買を継続することでその分は取り戻せます。
USD/CADは1,500pips以上の損切り幅がおすすめ
年間平均変動幅が他の通貨より小さい
運用中の自動売買設定情報
設定の内容
2020年からこの2種類の設定でUSD/CADの自動売買を運用しています。
設定の決め方についてはこちらを参考にしてください。
設定内容 | 設定① | 設定② |
注文間隔 | 100pips | 100pips |
売買 | 買 | 売 |
利益幅 | 100pips | 100pips |
注文数 | 20本 | 20本 |
損切り | -2,000pips | -2,000pips |
設定ごとの必要資金はいくら?
注文間隔ごとの必要資金の目安です。最大含み損と必要証拠金の合計が必要資金の目安になります。「買い」と「売り」の両建て自動売買の場合、含み損は片方が増えれば片方が減るというふうに重複しないので、相殺して一緒にまとめて考えています。両建ては「買い」を2セット運用するより必要資金は少なくなるのです。
必要資金の計算方法についてはこちらを参考にしてください。
設定間隔 | 必要資金の目安 | 最大含み損 |
設定①② 100pips 買・売 |
280,000円 | -168,000円 |
ロスカットされないためのリスク管理・必要資金の計算方法
リスク試算表を使ってそれぞれの設定で必要資金、最大含み損を計算し、リスク管理を行います。ロスカットされないために重要なのは、最大含み損を把握すること。運用資金が最大含み損と必要証拠金より多くあればいいのです。
【重要ポイント!】
必要資金の計算方法
自動売買の必要資金をリスク試算表を使って計算します。購入単位はすべて1,000通貨です。必要証拠金はCAD/JPYのレートによって変動しますので、現在の証拠金を暫定値で設定してあります。
設定①(100pips間隔、注文数20本、買い)
注文価格 | 含み損 (1.1の時) |
損切価格 (-2,000pips) |
損切の 損失額 |
必要証拠金 (暫定値) |
---|---|---|---|---|
1.30 | -200 | 1.10 | -200 | -5,200 |
1.29 | -190 | 1.09 | -200 | -5,200 |
1.28 | -180 | 1.08 | -200 | -5,200 |
1.27 | -170 | 1.07 | -200 | -5,200 |
1.26 | -160 | 1.06 | -200 | -5,200 |
1.25 | -150 | 1.05 | -200 | -5,200 |
1.24 | -140 | 1.04 | -200 | -5,200 |
1.23 | -130 | 1.03 | -200 | -5,200 |
1.22 | -120 | 1.02 | -200 | -5,200 |
1.21 | -110 | 1.01 | -200 | -5,200 |
1.20 | -100 | 1.00 | -200 | -5,200 |
1.19 | -90 | 0.99 | -200 | -5,200 |
1.18 | -80 | 0.98 | -200 | -5,200 |
1.17 | -70 | 0.97 | -200 | -5,200 |
1.16 | -60 | 0.96 | -200 | -5,200 |
1.15 | -50 | 0.95 | -200 | -5,200 |
1.14 | -40 | 0.94 | -200 | -5,200 |
1.13 | -30 | 0.93 | -200 | -5,200 |
1.12 | -20 | 0.92 | -200 | -5,200 |
1.11 | -10 | 0.91 | -200 | -5,200 |
合計 | -2,100$ | - | -4,000$ | -104,000円 |
- 最大含み損:-2,100カナダドル(-168,000円)
- 最大損切りリスク:-4,000カナダドル(-320,000円)
- 必要証拠金:-104,000円
- 必要資金の目安:168,000 + 104,000=272,000円以上
CAD/JPY=80円で計算しています。
設定②(100pips間隔、注文数20本、売り)
注文価格 | 含み損 (1.5の時) |
損切価格 (+2,000pips) |
損切の 損失額 |
必要証拠金 (暫定値) |
---|---|---|---|---|
1.30 | -200 | 1.50 | -200 | -5,200 |
1.31 | -190 | 1.51 | -200 | -5,200 |
1.32 | -180 | 1.52 | -200 | -5,200 |
1.33 | -170 | 1.53 | -200 | -5,200 |
1.34 | -160 | 1.54 | -200 | -5,200 |
1.35 | -150 | 1.55 | -200 | -5,200 |
1.36 | -140 | 1.56 | -200 | -5,200 |
1.37 | -130 | 1.57 | -200 | -5,200 |
1.38 | -120 | 1.58 | -200 | -5,200 |
1.39 | -110 | 1.59 | -200 | -5,200 |
1.40 | -100 | 1.60 | -200 | -5,200 |
1.41 | -90 | 1.61 | -200 | -5,200 |
1.42 | -80 | 1.62 | -200 | -5,200 |
1.43 | -70 | 1.63 | -200 | -5,200 |
1.44 | -60 | 1.64 | -200 | -5,200 |
1.45 | -50 | 1.65 | -200 | -5,200 |
1.46 | -40 | 1.66 | -200 | -5,200 |
1.47 | -30 | 1.67 | -200 | -5,200 |
1.48 | -20 | 1.68 | -200 | -5,200 |
1.49 | -10 | 1.69 | -200 | -5,200 |
合計 | -2,100$ | - | -4,000$ | -104,000円 |
- 最大含み損:-2,100カナダドル(-168,000円)
- 最大損切りリスク:-4,000カナダドル(-320,000円)
- 必要証拠金:-104,000円
- 必要資金の目安:168,000 + 104,000=272,000円以上
CAD/JPY=80円で計算しています。
USD/CAD 過去の運用実績
過去の成績をみると、USD/CADは100pips間隔の自動売買では、月間利益はおよそ4,000円ぐらいです。「買い」「売り」の両建てで運用を行えば、月に8,000円です。2020年はかなり良い成績だったと思います。
2020年 1年間の運用成績
100pips間隔 | 利益 | スワップ | 月間 平均利益 |
買い | 47,280 | -491 | 3,899 |
売り | 55,202 | -194 | 4,584 |